駄犬、家を買う

一度人生投げた俺が居場所を手に入れるまでの話

12月のいちご需要はスーパーハイパーすさまじい

先日、いちごの話をする機会があったので、いちごの話をしようと思う。

 通常、いちごが実をつける時期をご存じだろうか。正解は、4月~6月だ。俺の住む地域にはいちご農家さんが点在しているので、ある程度周知の事実だと思う。かなりの人が何となく知っていると思うのだけど記事を書いてみる。
 
 先日、10月半ばの事だ。人といちごの話をしていた。というより、いちごの商品を置いていないことを責め立てられたというべきか。だから、いちごの時期について考えるに至った。話していて、この人の中でいちごは年がら年中出回っているフルーツの王様みたいなもんなんだなぁ、と感じた。春先にに並ぶことを伝えると、『12月ってことですか?』とかなりしかめっ面をされてしまった。いやいや、春先って言ってるじゃないですか。どこをどう聞いたら、12月が春になるんです。と、失礼ながら思ってしまった。来年になってしまいますね、大変申し訳ありません。そう伝えて、お帰りいただいた。
クリスマスなどあるからね。クリスマスのケーキにいちごがのっているイメージあるしね。気持ちはわかるんだ。12月のいちごは、ほんとにお高い。フルーツそのものが高いと、もちろん品物も高くなってしまうんだよ。ああ、わかっておくれぇ。と思いながら、うしろ姿を見送らせていただいた。

というわけで、想像のつく方は多いと思うが12月にいちごが並ぶ仕組みをお話しておきたい。

 先ほど言ったように、いちごが本来実をつける時期は、主に4月~6月の概ね春。※例外の品種も存在する。

 では、12月のいちごがどのように栽培されるのか。そう、みんな大好きビニールハウスを使って、ビニールハウスの中に春のような環境を作り出して栽培している。いわば、人工的な春だ。
 なぜ冬にわざわざハウスの中に春を作ってまで、いちごを生産しているのか…。12月にクリスマスがあり、いちご需要が高まる事と、日本人が初物好きという理由が挙げられる。初物の話は、俺も今回初めて聞いた。
 季節の食べ物を大切にするという文化のある日本人。初めて食べる初物を有難いものととらえる風習がある。なので、5月に収穫されたいちごよりも、4月に収穫されたいちごの方が価値が高くなるらしい。出荷された時期が早いほど、市場の卸価格が上がる仕組みになっているらしいのだ。成程。んで、どんどん早い時期に出荷されるようになっていったんだと。そりゃあ、高く売れた方が嬉しいよな。農家さん大変だもん。うん。そもそも、冬場にビニールハウスの中を春ぐらいに保つなんて、コストもかかるし、手間もかかっているのだ。うまいもんを一生懸命作ってくれることに、感謝しかねぇ。
 こんな日本人の風習的な事情に、クリスマスという大イベントが重なる。クリスマス…クリスマスケーキと言ったら…いちごの乗ったクリスマスケーキだ。12月24日、25日のいちご需要は、スーパーハイパーすさまじい。クリスマスケーキのいちご需要に応えるために12月からいちごの収穫が盛んになってくる。

 ここまで、いちご時期の話をしてきたが、俺がここで本当に言いたいのは、クリスマスにはいちごの乗ったケーキというイメージの強さだ。見てみろぉ。本来のいちごの季節が迷子じゃねぇか。いちごに限られたことではない。技術の進歩によって美味しいものが安定的に、年がら年中食べられるような世の中になっているわけだが、食べ物に季節を感じづらくなっている部分はあるのかもしれないな。日頃食べ物のことを考える仕事を、曲がりなりにもしているので、迷子になっている季節感も自分の中では明確にしておいて、聞かれたときにすぐに答えられるようにしておきたいなと思う。どの食べ物が旬で、どのように美味しいのか。買ってくれるお客さんに、そういう情報も一緒にお届けできたらいいなと思うのだ。日々勉強だ。

 あれだけ、本来のいちごの実る時期は4月~6月と言っておいて今更なんだが…いちごの美味しい時期は実は1~2月ごろと言われている。だから、最初に話した人は、もしかするとこの時期の飛び切り甘いいちごが食べたかったのかもしれないなぁと思った。
 ・いちごは実ってから収穫されるまでの日数が長いほど甘くなる。
 ・収穫されるまでの日数が、気温が低ければ低いほど伸びる。
 
このような条件でいちごが甘くなるのには、酸味の成分になるアスコルビン酸(ビタミンC)の濃度が冬は低くなることや、温度が低いと成長がゆっくり進むためうま味の成分も多く蓄積されるというのが関係しているらしい。
奥が深いね果物は。何か物を作っている人ってのは、そのものの専門家なんだよな。そのものを知り、研究を重ね。努力を惜しまず、経験・知識を重ねてうめぇもんつくってるんだよなぁ。食材にも、作り手にも感謝だよな。